てつがく対話とは

 

てつがく対話って何?

「てつがく」=何やらむずかしそうなイメージがあるかもしれませんが、「犬てつ」では、哲学の知識はまったく必要ありません。正解のない問い(話あいのテーマ)についてじっくり考え、一緒に考えることをとおして思考を広げ、深めていきます。
答えのある問題を考えるのは得意でも、答えのない問いにじっくり取り組んだり、人の話に耳を傾け、自分の話を真剣に聴いてもらったりという体験は、意外に少なかったりします。自分の考える物差しが、他の人とは違うことや似ていることを経験のなかで学び、自分の頭で考えたことを人に伝わる言葉にする。そうした生きるうえでの大事な術(すべ)と時間を共有します。
互いに尊重しあえる関係性を作るなかで、自分や人への理解を深め、人との協同作業の楽しさに気づいたり、新しい発見を生み出す場です。

 

どんなテーマで話しあうの?

話し合うテーマはその時々に変わりますが、「どうして勉強しないといけないの?」「友達って必要?」「時間ってなに?」など、単純な○×では答えられない問いがメインです。なんでだろう?本当にそうなのか?そんな日常のなかで浮かび上がる身近な問いを、時間をかけてみんなで一緒に考えて話しあいます。


てつがく対話のルールって何?

安心して話しあえる場を共有するために、てつがく対話にはいくつかのルールがあります。

・どんなことを話してもいい。
・人の言うことを尊重して聞き、否定だけの発言はしない。
・発言せずに聞いているだけでもいい。
・なるべく知識ではなく経験から出てきた言葉を話す。

こうしたルールを共有することで、普段の「会話」とは一味違う、安心して話せる「対話」の場が生まれます。


てつがく対話の始まりって?

てつがく対話は、古くは古代ギリシアの哲学者ソクラテスが行った、対話を通じて自分が知らないということを知る(無知の知)にはじまります。ソクラテス的対話の再評価のもと、1970年代のアメリカではじまった、子どもたちの創造的な思考力を養うための「子どものための哲学(philosophy for children P4C)」や、1990年代にパリのカフェではじまった、誰もが気軽に立ち寄れる場所でいろんなバックグラウンドをもった人たちが対話をする「哲学カフェ」の実践があります。日本でも1990年代後半から、てつがく対話の様々な試みが、カフェやコミュニティ、学校などで繰り広げられるようになりました。近年では教育プログラムとして学校の現場にも取り入れられ、NHKのこども向け番組も編成されるなど、日本でも静かなブームを迎えつつあります。